2013
04.12

つきにわメルマガ27

Category: 金曜のアレ
その行く手に幸福な未来はありますか。

つきにわメルマガ☆金曜夜発行
【終演・Ⅴ】
 魔道協会に衝撃が走った。幹部達の引き攣った顔が見られた。それだけで満足だった。あとはそう、累積された疲労と眠気によりほとんど覚えていない。
「それで、お許しが得られたのね?」
 帰宅するなりベッドに倒れ込んだアスベルドを介抱しながらベルが呟いた。答えはない。問いかけられた青年は深い深い眠りの底にいる。しばらく目覚めることはないだろう。
「……人間は、神に逆らうことをやめないのですね…。」
 深いため息が漏れた。どうあっても避けられない運命だというのだろうか。何故、愛する者と敵対しなければいけないのだろうか。軽く彼の髪をなでる。

 最初は事故だった。幼少期の事故により右目を失った青年が咄嗟の事故を防ぐために飛行機械の高度を上げて走らせていた。かねてより地上に興味を抱いていた女性は雲間から見える地上の光景が増えるようほんの少しだけ高度を下げて飛んでいた。
 出会いは偶然だった。その後の関係は偶然だったのか必然だったのか―――例え、結ばれることがなくとも、共にいられるだけで幸せであろうと思っていたのに、共にいることさえ赦されないというのだろうか。

 もう一度、説得に向かおう。いや、何度でも、聞き入れてもらえるまで説得せねばならない。神と人間が相容れない程の関係になってしまったのは仕方がない。せめて、人間を、世界を滅ぼすことだけは考え直してもらわないと。

 せめて、彼と共にいさせて欲しいのだ、と。

 彼女は目的のために天に飛び立った。それからしばらくの後、雨が降ってきた。世界を滅ぼす雨。妹神を寝取られたと激怒した一人の若い神によって生命を奪われた青年の思いを乗せた箱舟は意思を持ち、驕った人間を寄せ付けず、神話に倣うかのようにごく僅かな生命を乗せ、神との戦いに赴いて行った。

 雨は七日間続いた。世界は海の底に沈んだ。海にはただ一艘の舟が浮かんでいた。箱舟に選ばれた人間達により次の文明が紡がれていった。

 ―――次は、このようなことにならないといいのだけどな。
 思念が漏れた。
 ―――人間から魔法を奪った。所詮地上で生み出される程度の兵器では神には届かない。まぁ、そんな開発すらさせる気はないがな。
 思念は誰に紡ぐともなく語る。
 ―――さぁ、幕は開かれた。次こそは志半ばで終幕とならぬよう足掻くといい、愚かしくも愛おしい人間達よ。
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